缶コーヒー一本分の暖かさ


 突然放り投げられた缶コーヒーを、慌てて受け取ろうとして失敗した。
「ドジ」
「うるさいわね、いきなり投げる方が悪いのよ!」
 幾分怒って見せながら、彼女は拾い上げた缶コーヒーを手袋に包まれた両手で抱いた。
 ……暖かい。
「にしても、デートで缶コーヒーってのも虚しいわね」
「金の無い学生に何を求めるかね?」
「フランス料理フルコース」
「お前、それ以外に高級料理知らないだろ」
「う、うるさいわねっ」
 文句ばかりの様だが、彼女の顔は笑っている。例え缶コーヒーでも、好きな相手にもらえるならば嬉しく無いはずが無い。
 飲み終わる頃には、暖かかった缶はすっかり冷えてしまっていた。一抹の寂しさを振り切るようにゴミ箱へと放る。
「ほら」
「……ん」
 冬の道。
 繋いだ彼の手は、先ほどの缶コーヒーよりも暖かく感じられる。
「これは、ゴミ箱に捨てることにならないようにしなきゃね……」
「何の話だ?」
「内緒」
 その手に感じる温もりは、缶コーヒー一本分の暖かさに何を加えたものなのか……。

調子に乗ってまた書いてみる。缶コーヒー飲みながら。うわみじかっ。
って何か痒い&お約束&どっかで見たような?!(ぁ