こたつ


「おい、そこのこたつむり」
「……あたしのこと?」
「お前以外にいるか、こたつむり。お前は俺の家に何をしにきてるんだ?」
「えっちなこと」
「待て」
 こたつむりと表現された彼女は、確かに身体の大半をこたつの中に突っ込んだまま、しれっと言ってのけた。
「こたつっていいねぇ。あったまるねぇ」
「俺の入るスペースが無いが?」
「あったまるねぇ」
「聞けよ」
 それでも強引に足を入れてくるあたり、彼の方も中々良い性格をしているようだ。
「あっ。強引だなぁ、もう。……今こたつの中覗いたら蹴るぞ」
「何を今更……って見てなくても蹴ってるじゃねぇか」
 蹴った拍子に体勢を入れ替え、彼の足の上に彼女が身体をのせる。この狭いこたつの中では、こうでもしなければ二人入ることは出来なかった。
「もっと大きいこたつが欲しいね」
「俺一人ならこれで充分だ」
「一人ならね」
 返した彼女の言葉は小さく、彼には聞き取れない。
「何か言ったか?」
「なーんにも♪」
 安物でもいいから、いずれもっと大きなこたつを買おう。二人もぐりこんで平気なくらい。そんなことを考えながら、彼女は暖かさの中、ゆっくりと眠りに落ちる。
「だから寝るなと言うに……」
 あと、ゆっくり眠れる時間が持てるようにもなろう……。

のーつっこみでー♪